永代供養の真言宗成田山国分寺インスタグラム

真言宗の実践

真言宗の実践

 真言宗成田山国分寺が属する真言宗智山派で定められている僧侶としての修行と研鑽について、修行僧から教師(権律師から大僧正までの僧階をもった僧侶。等級は十五級から一級まであり、大僧正が一級となります)が修めるべき行を順に概説します。

得度とくど

 僧侶になるための最初の儀式が「得度式」です。渡るという意味が「度」です。「得度」すなわち、「渡るを得る」とは、仏の教えに出会って、彼岸(悟りの世界)に渡るという意味です。そこで、得度とは悟りを求めて仏道の修行に入ることをいい、その儀式を「得度式」といいます。
 得度式では、まず出家して僧侶になることの決意を問われます。次に修行の意義が諭され、髪の毛を切る「剃髪ていはつ」の儀式を行い、仏弟子としての名前(法名)と袈裟と念珠を授かります。
 「得度」は満六歳以上で、真言宗智山派の教義を信奉する者に対して行うなどの定めがあります。得度が終わりますと管長猊下から度牒(僧侶になることを許可した文書)が授けられ、僧侶として僧籍簿に登録されます。

加行けぎょう

 僧侶として必要な行法や生活の作法を身に付ける修行が「加行」です。「礼拝行」・「十八道法」・「金剛界法」・「胎蔵法」・「不動護摩法」で構成された「四度加行」を行います。この加行を終了しないと、真言密教の奥義を授かる「伝法灌頂でんぽうかんじょう」を受けることができません。
 現在の四度加行は五十六日間かけて行います。一日に初夜(夕方)・後夜(早朝)・日中(午前中)の三座の行を勤めます。まず十四日間の「礼拝行」を行います。五体投地ごたいとうち(右膝・左膝・右肘・左肘・頭を地に付け仏さまの御足おみあしを頂き礼拝する。)を百八返繰り返し、礼拝が終わると、「理趣経りしゅきょう」や「陀羅尼」、「御真言」をお唱えします。
 次は二十一日間の「十八道念誦法」の修行です。決められた所作を体得して、すべての行法の基本を学びます。次に「金剛界念誦法」と「胎蔵界念誦法」とを七日間ずつ修行します。ここでは、金剛界、胎蔵生の曼荼羅の如来・菩薩などの諸尊を礼拝し、心に曼荼羅を描きます。最後は七日間の「不護摩法」です。不動明王をご本尊として「不動法」という行法の中で、護摩供(護摩壇の炉に火をたいて供物を供え、煩悩の薪をたいて悟りの光とします)の修行をします。

入壇にゅうだん

 加行を終えた出家者が、真言宗の法を継承する正式な僧侶(教師)となるために受ける儀式が「伝法灌頂でんぽうかんじょう」という大法会です。総本山智積院では、毎年三月の初めから中旬にかけて開筵かいえんされます。  灌頂とは、大日如来の五智を表示する五瓶の水を頭にそそいで、真言宗の法を師から弟子へと引き継ぐ(相承そうじょうする)儀式です。「三昧耶戒壇さんまやかいだん」・「金剛戒壇」・「胎蔵戒壇」の三つの道場で、それぞれの灌頂壇に「受者じゅしゃ」として入ることを「入壇にゅうだん」といいます。  入団を済ませた修行僧は、真言宗の正しい法脈を相承する者と認められ、管長猊下から僧侶の位(僧階)を授かる資格を得ます。

練行れんぎょう

 「行」を「練」るということで、すでに修めた行法をさらに真言行者が自分のものとしていくことです。加行で行った「金剛界念誦法」、「胎蔵界念誦法」を七日間・二十一座ずつ修法するのが一般的です。総本山道場、各大本山、各別格本山もしくは教区加行道場で行います。新豪雨集智山派の規程では、金剛界法、胎蔵法の練行勤修が僧階の八級(権大僧都)に昇補するための条件にもなっています。

伝法両大会でんぽうりょうだいえ

 「伝法大会(堅儀りゅうぎ)」と「伝法灌頂」の両方を合わせて「伝法両大会」といいます。堅儀は、化主猊下けしゅげいか御晋山ごしんざんを慶祝してほぼ四年に一度、伝法灌頂は毎年開壇かいだんされています。

伝法灌頂でんぽうかんじょう

 真言八祖から受け継がれた秘法・奥義を弟子に伝える儀式です。本宗では、灌頂壇を開くことができるのは、現在では総本山智積院の化主猊下一人のみで、「権大僧都」・「大僧都」の位にある僧侶は、化主猊下の開壇された灌頂壇を借りて、「三昧耶戒壇」・「金剛界壇」・「胎蔵界壇」の大阿闍梨(大阿)を勤めます。これを「便壇びんだん」といい「便壇」の大阿を勤めることと、「堅儀」の諸役を務めることが、権少僧正(六級)に昇補するための条件としけ規定されています。

堅儀りゅうぎ

 真言宗の教義について問答をし、研鑽をする儀式です。奈良の興福寺や東大寺で行われていた問答により理解を深めていく学問研鑽の方法が真言宗に取り入れられたものです。この伝統に則り今日でも、化主猊下のご晋山を慶祝して伝法大会が開筵されます。
 堅儀は、五人の「問者」が出す問題に対して、「堅者りっしゃ」が解答し、その解答の内容を「精義者せいぎしゃ」が評価し、「註記者ちゅうきしゃ」が確認していくという形で問答が進みます。

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